2015年1月13日火曜日

仲間と成し遂げる達成感…AKB48 高橋みなみさん

 今年のえとのヒツジと言えば、幾つかのイメージが浮かぶ。

 群れを作る、おとなしくて従順――。思えば、これは大方の日本人に通じる性質ではあるまいか。むろんオオカミを自任する方もいていいのだが、どこか羊っぽい側の人間としては、この時代をどう生きるべきか。インタビューを通じて、探ってみる。

 「群」の中には羊がいる。もともと羊が群れるさまから生まれた漢字だが、まさしく群=グループとして、大きな存在感を放つのがAKB48だ。その第1期生にして、2012年からは「総監督」を務めてきた。

 当人は「小さい頃から割と群れるタイプじゃなかった。断然一人でいるのが好きなのに、不思議」と笑みを浮かべる。

 東京、名古屋、大阪、博多と海外の姉妹グループを含め、総勢約450人にもなるアイドル集団。年齢も性格もばらばらな女の子が一緒に行動する。最初は自身も戸惑った。「グループに入りたいと誰も思っていなかった。年齢差もあり、環境に慣れるまで時間がかかりました」

 歌とダンスも目立って下手では許されないため、「みんな自分のことで必死だった」。しかし、デビュー本番の舞台に立って、まばらな客席という現実を見た時、一人ひとりの意識が同じ方向に向き始めた。「これからどうしようとみんなが思うことで、絆が生まれていった」

 問題に皆で対処して喜びや苦しみを分かちあい、目的達成に向けて結束する。そうした集団像はビジネスなどでも、日本的な成長モデルとされてきた。

 ただ、AKB48の場合、外側から見える形で、集団に競争を持ち込む。まずはメンバーが増えた段階で、複数のチームが作られた。「1期生のメンバーでずっとやっていく気持ちだったから、グループ同士で競争しろと言われて、一瞬わからなくなった。仲間だけどライバルという難しい時期がありました」

 さらに「総選挙」という人気投票、メンバーの入れ替えが加わる。個として自覚を求められた。それが集団への刺激にもなることに、後から気づいた。

 「ある意味で、学校のクラス替え。好きな子と一緒だと、ただのなれ合いになり成長できない。積み上げたものがゼロになると、新たな人脈を作ろうと頑張るし、そこに発見もある」

 集団内の葛藤や成長をファンは注視する。好きなメンバーを“推しメン”と呼ぶ同士で連帯感を抱きつつ、競争にも参加する。そのあり方を含めて、「世の中、一人だと難しいことってたくさんあるから仲間を作る。みんなでやれば、成し遂げる達成感も違う。それが群れをなす素晴らしさ」と言い切る。

 AKB48は今年12月で結成10年。それを節目にグループを卒業すると、先月公表した。

 「今以上の達成感があるのかな」と胸中を明かすが、前田敦子さんら、先に卒業した仲間に話を聞くと、前向きな言葉が返ってくるという。「自分と向き合う時間ができるとは思う。自分のこと以上にグループのことを考えてきたので、それがなくなることがまだ想像できないけれど、でも、次の年につながるラスト1年にしたい」

 実は未ひつじ年の生まれ。年女として転機の年を迎える。


http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20150107-OYT8T50078.html

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